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矯正治療でよけいに歯を悪くさせないために

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矯正治療で歯並びはきれいになったが、矯正装置を外してみると虫歯などでボロボロになってしまっていては意味がありません。矯正治療では長期間、矯正装置を装着するために虫歯や歯周病のリスクがとても高くなります。よって治療開始前の虫歯及び歯周病の検査及び治療、そして矯正治療期間中・後のフォローはもとても大切になります。

以下に矯正治療以外で、当院で行う関連処置をご紹介いたします。参考になれば幸いです。

1) フッ化物の使用

まず、歯列矯正治療の年齢の入口は小児期になるので、虫歯の問題も並行に考えることはとても大切なことです。乳歯やはえてきたばかりの永久歯を強化し、虫歯になりにくくする方法にフッ化物の使用があります。具体的な方法としては、ご家庭でできる『フッ素によるうがい』と歯科医院で行う『フッ素歯面塗布』と『シーラント(予防填塞)処置』です。

フッ素のむし歯予防効果

フッ素をじょうずに利用する

フッ素とシーラントの効果

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1)-(1) ご家庭でできる『フッ素によるうがい』について

ご家庭でできる『フッ素によるうがい』についてイメージ

虫歯予防のフッ素は安全です

販売用フッ素洗口剤

販売用フッ素洗口剤イメージ

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1)-(2) 専門家による『フッ素塗布』について

歯科医院で専門家による『フッ素塗布』を行います。ご家庭や学校などで行う 『フッ素によるうがい』よりも濃度の高いフッ化物を、きれいに歯を清掃した後に、歯面にすり込んでいきます。歯ブラシが不十分な所へフッ素を塗ると効果が半減します。塗布後しばらくは、食事を避けたほうがいいので、食後に来院されることをおすすめいたします。

フッ素塗布イメージ

フッ素塗布イメージ2

注)しばしば「フッ素を塗ると、歯が黒くなりませんか?」という質問を頂きますが、むし歯予防のフッ素液で歯が黒くなることはありません。歯が黒くなるのは、むし歯の進行を止めるために使うサホライド(フッ化ジアミン銀)という液を使用した場合です。もしサホライド(フッ化ジアミン銀)が必要で、塗布する場合には事前にお話しますのでご安心下さい。

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1)-(3) 専門家による『シーラント(予防填塞)処置』について

1)-(3) 専門家による『シーラント(予防填塞)処置』についてイメージ

歯科医院で専門家が行うもう一つのフッ素処置に『シーラント(予防填塞)処置』があります。咬む溝は歯ブラシが十分届かず、むし歯ができやすいために、予防的にフッ素を含有する専用のセメントでシールします。
フッ素による効果は同じですが、時間をかけて徐々にフッ素が放出するメリットがあります。ただ、かみ合わせの面に使用するために、シールの一部がはげたりしやすいために、定期的なチェックが必要になります。

シーラント処置

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2) ブラッシング練習

まず、ブラッシング練習の基本はどこが磨けていて、どこを磨くのが苦手かを知ることです。目でみるだけではなかなか判断がつきにくので、プラーク(食べかすなどの歯のよごれ)を明確にする歯垢染色液(赤い薬)を使用します。たぶん、コマーシャルなどでご存知だと思います。歯垢染色液(赤い薬)を全体に塗っても、磨けている場所はうがいをするときれいに洗い流されてしまい、磨けていない所だけ赤く染まるので、磨き残しの部分が理解できるといった訳です。矯正装置を装着すると、さらにブラッシングにおいて悪条件になるので、基本的な歯ブラシをマスターしておくことはとても大切なことになります。

ブラッシング練習イメージ

歯ブラシの持ち方

歯ブラシの使い方

歯ブラシ以外の清掃道具を補助清掃道具といいます。
以下に示すような補助清掃道具のサイズや使用方法は専門家にお尋ね下さい。

補助清掃道具イメージ

以下に一般的な表側のマルチブラケット(ブレース)矯正装置の歯ブラシのコツを示します。裏側からのリンガル(舌側)矯正装置では、また少し感じが違いますが基本的な歯ブラシに対する考え方は同じです。
ただ、現実的は手で磨くのが苦手な方へは電動歯ブラシをおすすめしております。

装置が入ってからの磨き方

電動歯ブラシ

ワイヤー矯正(マルチブラケット/ブレース治療)を受けられる方に、最新式の歯科医院専用電動歯ブラシを期間限定で無料贈呈しております。詳しくはお尋ね下さい。

ダイヤモンドクリーン

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3) PMTC(専門家による徹底した口腔内清掃)

歯科医院での専門家によるプラークコントロールをPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)といいます。もともと一般歯科で、歯周病などの予防管理のためにでてきた考え方ですが、矯正治療に関わる部分でもとても大切な処置と言えます。簡単に言えば歯をピカピカにする行為です。

PMTCイメージ

矯正装置を装着する前と矯正装置を外した後に通常のPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)を行います。ただ、もっとも大切なのは矯正装置が装着された状態での清掃です。装置が装着されているために、細かい歯面仕上げは難しいですが、治療の来院ごとに虫歯のチェックと併せて、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)を行います。当院のほとんどの患者様に矯正治療終了後も歯並びの経過観察と併せて、定期的にPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)を受けて頂きます。

PMTCイメージ2

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4) 歯石除去

せっかくブラッシング練習を行なっても歯石がついているようでは意味がありません。歯石はプラーク(食べかすなどの歯のよごれ)が固まった細菌の塊で、ご自身での除去が困難です。従って、専門家によって取り除く必要があります。

歯石除去イメージ

下図は矯正装置装着後に歯肉炎になっている状態を示します。原因は矯正治療中のブラッシング管理が十分でないことと、矯正装置装着前に歯石がきれいに除去されずに矯正治療を開始されていることです。

矯正治療イメージ

歯並びをきれいにするために矯正治療を行うのですが、治療前に、元々歯並びの悪い部分は歯石がたまりやすかったり、虫歯になりやすかったりします。虫歯や歯周組織の状態を含めた慎重な術前診査はとても重要になります。

歯石除去イメージ2

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5) 虫歯治療

虫歯は下図のようにステージC1〜C4ヘ段階的に進行します。C1〜C2のような比較的初期の虫歯の範囲であれば、神経までの影響は少なく、虫歯の範囲を除去してプラスチック樹脂などを詰めて解決できることになります。

虫歯はこのように進みます

右の写真はC1のステージですが、早期発見であればあるほど小さい範囲での治療が可能です。当院では、矯正治療前に虫歯の問題を解決してから矯正治療を開始するのですが、子どもさんなどでブラッシングがあまりにも不十分な場合には、矯正治療期間中に、新たに虫歯ができることもあります。そういった意味で、小児矯正治療は、虫歯治療も対応可能な歯科医院で受診される方が有利になることもあります。

虫歯治療イメージ

成人矯正治療においても、基本的には同じアプローチで(1)PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)→(2)虫歯のチェック→(3)虫歯の治療→(4)矯正装置装着という手順になります。

※(3)で抜歯や歯周治療の必要性があれば行います。

成人矯正治療イメージ

乳歯C2ステージの虫歯治療

・・・虫歯の範囲を除去してプラスチック樹脂などを詰めて解決

虫歯治療イメージ2

永久歯C2ステージの虫歯治療

・・・虫歯の範囲を除去してプラスチック樹脂などを詰めて解決

虫歯治療イメージ3

もしも不幸にも虫歯のステージがC3まで進行していると、以下のような根っ子の治療やコア(土台)・クラウン(冠)の治療が必要になります。矯正治療において、クラウンの治療が必要になる場合、矯正治療後の安定したかみ合わせを構築する意味で、治療全体的としてのバランスはとても大切になります。

根管治療

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6) 抜歯

矯正治療に関連して行う抜歯に以下のものがあります。

(1)晩期残存乳歯

・・・抜け落ちるのが遅くて、後にはえてくる永久歯の邪魔になっていたり、歯並びを悪化させると判断された乳歯は抜歯します。この抜歯に要する時間は3秒でした。

晩期残存乳歯イメージ

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(2)過剰歯

・・・決まっている歯の数以上に存在する歯のことを過剰歯(かじょうし)と言い、最も多いのは上顎正中での正中過剰歯です。他の永久歯を圧迫するなどして歯並びを悪くする場合や、口腔内に萌出せずに歯肉や顎骨内にとどまる埋伏型もあり、それはそれで隣在歯根に悪影響を与える可能性があるので抜歯対象となります。外科手術に対応できない矯正歯科では大学病院などへ委託するところもあります。そういった場合、全身麻酔下で入院となることもあり、日帰り手術で対応できないかと当院へお問い合わせを頂くことがしばしばあります。
以下に当院での正中埋伏過剰歯の症例を示します。

6歳 女の子

かかりつけ歯科医院で歯の数が多いことを指摘された。永久歯が生えるのに邪魔になる可能性があるので抜歯をすすめられた。ただ、そのかかりつけ歯科医院では抜歯の対応が不可能で、大学病院への紹介になると言われた。ほんとうに抜歯する必要があれば、抜歯して欲しい。

術前

術前イメージ

レントゲンで2本の正中埋伏過剰歯が認められた。永久歯の歯並びや歯根に悪影響を及ぼす可能性が考えられたので抜歯を計画した。

レントゲン写真

抜歯にかかった時間は15分でした。以下に抜歯の流れを示します。

術前2

抜歯から2ヶ月後、前歯が正常な位置に頭を出し始めました。

術前3

before & after

術前術後

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(3)埋伏歯

・・・口腔内に萌出せずに歯肉や顎骨内にとどまる歯を埋伏歯といいます。親知らずではしばしばあることですが、通常の永久歯でもまれにあります。感染がなければ、痛みや炎症をおこすことなく、そのまま放置してもかまいません。しかし矯正治療を考えるならば、その歯を引っ張り出して(牽引)歯列に参加させるか、それとも抜歯を計画してその歯はないものとして考えるかを決断しなければなりません。いずれにせよ埋伏歯の対応には外科手術は必要になります。外科手術に対応できない矯正歯科では大学病院などへ委託するところもあります。そういった場合、全身麻酔下で入院となることもあり、日帰り手術で対応できないかと、よく問い合わせを頂きます。
以下に当院での'埋伏歯の抜歯''埋伏歯の牽引'の2症例を示します。

28歳 女性 【埋伏歯の抜歯症例】

矯正の相談で矯正歯科医院へ行ったところ、1本犬歯が埋まっていることを指摘された。矯正治療を行うなら、歯根が他の歯に干渉する可能性があるので抜歯をすすめられた。ただ、その矯正歯科では埋伏歯抜歯の対応は不可能で、大学病院への紹介になると言われた。抜歯が必要ならば、抜歯して矯正治療もして欲しい。

術前

レントゲン写真

レントゲンで1本の埋伏犬歯が認められた。位置が悪いので牽引は不可能だと判断された。
CT撮影を行い、埋伏犬歯の3次元的位置を確認した後、開窓し抜歯を行なった。抜歯にかかった時間は15分でした。

術中

術中2

術後

10歳 女の子 【埋伏歯の牽引症例】

右上の永久歯(犬歯)が生えてこないので、かかりつけ歯科医院で相談したところ、このまま生えてくるかもしれないの様子をみましょうと言われた。矯正治療も考えているので見て欲しい。

術前

レントゲンで1本の埋伏犬歯が認められた。前の側切歯の根っ子にひっかかってほう出できない感じだったので、方向を考慮し牽引してみることとした。

術前

CT撮影を行い、埋伏犬歯の3次元的位置を確認した後、開窓手術を行い、牽引用の矯正装置を取り付けた。手術時間は15分だった。

レントゲン

術中

傷口が回復した後、牽引を開始した。予定通り、マルチブラケット(ブレース)矯正装置のワイヤーに歯を取り込むことができた。

牽引のための開窓手術から1年後

before & after

術前術後

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(4)小臼歯などの便宜抜歯(矯正でスペースを確保するための抜歯)

・・・デコボコな歯をきれいに並べたり、出ている歯を引っ込めたりするためにはどこかに配列するスペース(隙間)を確保する必要性があります。まずは歯を抜かずに配列スペース(隙間)が確保できないかを検討します。ただ、どうしても歯を抜いたほうが美しい口元を作り上げられると判断された場合には、歯を抜くことを相談の上で決めていくことになります。成人矯正における一般的な抜歯部位は、犬歯(糸切り歯)の後ろの小臼歯(歯科では4番or5番)です。上下の顎(アゴ)の前後的位置関係を考慮した結果、2~4本抜くことになります。これらの矯正の歯の配列のために必要な抜歯を『便宜抜歯』といいます。決して『便宜抜歯』によって、機能的な問題(噛みづらくなるなど)が起こるといったようなことはありません。

小臼歯などの便宜抜歯イメージ

(5)親知らず(第3大臼歯)

・・・矯正をしない場合でも「親知らずが生えてきてから前歯がガタガタしてきたような気がする」といったような声をよく聞きます。それは親知らずが前の歯列全体を押すことに起因します。なおさら、矯正をする場合においては、せっかくきれいに並べた歯並びが後戻りしては意味がありませんので、矯正前に親知らずは抜歯しておくというのが基本になります。個人差はありますが、一般的には最大で4本の親知らずがあります。

親知らずイメージ

親知らず抜歯の流れ

親知らず抜歯の流れイメージ

親知らずと下歯槽神経の位置関係

下顎の親知らずの抜歯においては太い下歯槽神経が接近するケースが多いので注意が必要です。親知らずの位置関係で、術後のしびれ感がしばらく残ることがありますが、術者の技術でほとんど回避することができます。

親知らずと下歯槽神経の位置関係イメージ

当院での親知らずの抜歯に要する時間は、頭が粘膜から露出しているケースで1本につき1分、粘膜の下の隠れているケースで1本につき5〜10分です。抜歯前の親知らずの頭の露出量が多いほど、切開の範囲が小さく済み、術後腫脹も小さく、術者にとって簡単な抜歯と言えます。

簡単に抜歯可能で、術後腫脹が小さい場合 (粘膜から頭が露出している)

簡単に抜歯可能で、術後腫脹が小さい場合 (粘膜から頭が露出している)イメージ

親知らずが粘膜下に隠れている場合の抜歯手順 (a→c)

・・・粘膜を切開するために術後腫脹が生じます

親知らずが粘膜下に隠れている場合の抜歯手順 (a→c)イメージ

口腔内に萌出せずに歯肉や顎骨内にとどまる歯を埋伏歯といいますが、親知らずでも埋伏の位置が深いほど、抜歯は難しくなります。そういった理由で、外科手術に対応できない矯正歯科では大学病院などへ委託するところもあります。そういった場合、全身麻酔下で入院となることもあり、日帰り手術で対応できないかと、よく問い合わせを頂きます。
当院では大きなインプラント手術なども行うために、麻酔専門の非常勤医師が待機しています。どうしても恐怖心が強い方は麻酔医による静脈内鎮静麻酔下での抜歯が可能です。日帰り手術で、同日に親知らず(第3大臼歯)4本を抜歯される方もいらっしゃいますし、また小臼歯の便宜抜歯を含めると最大8本の同日抜歯を希望される方もいらっしゃいます。詳細はお尋ね下さい。

親知らずが粘膜下に隠れている場合の抜歯手順 (a→c)イメージ2

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7) 小帯切除

歯並びに影響を与える小帯異常には以下のようなものがあります。

(1) 上唇小帯が前歯の間まで延びている場合(上唇小帯短縮症)

子供さんで、上唇付け根が前歯の間まで延びている場合、前歯に隙間が生じて歯並びを悪くすることがあります。このような場合には、前歯の間に入り込んでいる部分を外科的に切除(上唇小帯切除術)することがあります。

(1) 上唇小帯が前歯の間まで延びている場合(上唇小帯短縮症)イメージ

邪魔していた小帯が除去されたため、前歯の隙間が徐々に閉じてきています。

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(2) 舌小帯が舌の先まで延びている場合(舌小帯短縮症)

舌の根元にあるツッパリ(舌小帯)が舌の先の方に付いている場合、舌の動きが悪くなり、発音や咀嚼(咬むこと)の障害になります。このような場合もその部分を外科的に切除(舌小帯切除術)します。 

術前

以下に当院での'上唇小帯切除術'と'舌小帯切除術'の症例を示します。

7歳 女の子 【上唇小帯切除症例】

学校検診で受け口を指摘された。重度だと言われた。かかりつけ歯科医院で相談したところ、上の小帯は切った方がいいと言われた。受け口の矯正治療も含めてみて欲しい。

術前

術前

横顔も典型的な受け口のタイプである

術中

術中2

まず、上の歯をリンガルアーチを使用して、裏側から前方に押して被蓋の改善を行った。

術中3

被蓋改善後

被蓋改善後

続いて、前歯の閉鎖を邪魔している可能性のある上唇小帯の切断手術を行った。手術後、スムーズに前歯の隙間は閉じはじめた。

被蓋改善後2

before & after

術前術後

27歳 男性 【舌小帯切除症例】

滑舌が悪くて、仕事にさしつかえる。特に電話の声が聞きにくいと言われる。かかりつけ歯科医院で相談したところ、その医院では対応不可能だと言われた。矯正治療も考えているので、まず舌小帯を切る手術をして欲しい。

術前

小帯が深い位置から硬直しているために、舌をあげようとしても、前にだそうとしても制限を受ける。よって主訴である発音障害が認められた。現状では、舌を唇よりも前に出すことできない。

術前

通常の小帯切除手術のように、小帯表層だけの切開では十分な舌の進展が得られなかったために、さらに深い位置からの筋層の切断を行なった。ようやく唇よりも前に舌を出すことできるようになった。

術前2

術中

小帯切除手術から2週間後、舌のリハビリ運動を開始しました。

術中2

術中3

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8) 歯周治療

歯周病は、歯を失う原因の中で虫歯よりも多い割合を占めています。歯周病は成人に特徴的な生活習慣病であり、日本人の成人の80%が歯周病を発症していると言われています。成人矯正治療においても、もし歯周病を放置したままで矯正治療を開始すると、歯並びをなおすどころか、矯正力がよけいに歯の負担となり、歯周病を悪化させることがあるので注意が必要です。よって成人矯正治療においては虫歯などと併せて、歯周病の術前診査・診断がとても重要になります。
以下は歯周病で歯が抜け落ちるまでの進み方を示します。歯周病のうち、歯肉に限局した炎症が起こっている状態を『歯肉炎』、骨などを含む他の歯周組織にまで炎症が波及してる状態を『歯周炎』といいます。(1)→(6)と段階的に進行し、(2)の『歯肉炎』の状態ではまだ歯のまわりの骨などの吸収はなく『歯周炎』の一歩手前の状態です。『歯肉炎』の状態であれば、正しいブラッシングや歯石除去で炎症を消失することができれば矯正力による歯への負担はまったくありません。よって問題となるのは(3)以降の『歯周炎』まで進行している場合での矯正治療になります。
これらの歯周病患者での成人矯正治療を『歯周矯正』といいます。実際、こういった環境下での矯正治療は矯正治療以外の知識や治療技術の要求される複雑な領域で、大学なども含めて矯正歯科での対応があいまいことが多く、患者様が行き場をなくしているような状態が見受けられます。

歯周病イメージ

歯周病って、なに?

・・・放っておくと歯を失ってしまう、歯ぐきと歯を支える骨の病気です。歯肉に限局した炎症が起こっている状態を『歯肉炎』、骨などを含む他の歯周組織にまで炎症が波及してる状態を『歯周炎』といいます。

歯周病って、なに?

現在の歯周病の病態分類

・・・歯周病の分類は、病原菌の解明が進むにつれて変化しています。以前は成人性歯周炎、若年性歯周炎、壊死性潰瘍性歯周炎、早期発症型歯周炎、急速進行性歯周炎、難知性歯周炎などとさまざまな分類がされていましたが、2006年にこれまでばらばらであった歯周病の分類を日本歯周病学会が委員会を立ち上げ、統一し発表しました。 今後もさらなる研究により、変化していくことも考えられますが、現在の大きく分類された3つの歯周炎のタイプを示します。(歯周病には歯肉炎も含みますが、骨などの周囲組織まで破壊の進んだ歯周炎に限定して説明させて頂きます。)

慢性歯周炎
  • 広い年齢層(小児から成人に至る)にみられる炎症性の歯周炎で、特に成人で最も多い頻度で発症します。いわゆる成人でよくある歯周炎のタイプはこれです。
  • 病態の広がりが全体の歯の30%以下に存在しているものを限局型慢性歯周炎といい、それが30%を超える場合を広汎型慢性歯周炎といいます。
  • 歯肉縁下歯石(歯周ポケット深くに存在する歯石)が多くみられ、その進行の程度は比較的ゆっくり波及するタイプですが、急速に進行する時期もあるので、注意が必要です。
  • 糖尿病や喫煙、精神的ストレスなどの影響もみられます。
侵襲性歯周炎
  • 通常、歯周病というものは35歳頃から少しずつ発症する場合が多いのですが、若いうちから歯周病が発症する場合にはこの侵襲性歯周炎の可能性が高くなります。アグレッシブ・ペリオドンティクスと呼ばれるものです。
  • 若い年齢の人にでも発症します。
  • 通常の歯周病よりも急速に進行します。
  • 前歯と6番(第一大臼歯)に限って発症することがあります。(限局型侵襲性歯周炎)
  • 家族集積性が見られることがあります。(家族の中に同じような症状の人がいること)
  • 難治性です。
遺伝疾患に伴う歯周炎
  • 血液疾患、遺伝性疾患、原因不特定を要因とする歯周炎をいいます。
  • まれに10万人に1人くらいの割合で、乳児から歯周炎になる人がいます。
  • 原因は、生体因子にかかわっていることが多く、たとえば白血球の機能がまったく働かない人がいます。白血球は、人間の基本的防衛機構ですから、その機能が働かないということは、菌に対する抵抗力がないに等しいと言えます。

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ほんとうは怖い歯周病!

・・・最近、歯周病が全身疾患の関係していることが明らかになってきました。関係が明らかとなってきているのが以下の病気です。

糖尿病

糖尿病と歯周病は密接な関係があります。糖尿病は免疫力の低下を伴うため歯周病になりやすいため、糖尿病を治療すると歯周病も改善します。そして歯周病はインスリンの分泌を阻害するといわれており、逆に歯周病を治すと糖尿病が改善するともいわれています。

心疾患および脳疾患

歯周病原菌が血液の中を通り、心臓や脳の血管に入り込むと血管が詰まりやすくなり心筋梗塞や脳梗塞になりやすくなるといわれています。

妊娠

妊娠中に歯周病にかかってしまうと、歯周病原菌が血液や羊水の中に移行して、早産や低体重児の原因となることが分かってきています。

肺炎

誤嚥などにより気管に歯周病原菌が侵入すると炎症を引き起こす菌の手助けをして肺炎を引き起こすといわれています。(高齢者は要注意)

そして統計的に重度の歯周病にかかっている人の死亡率が高いという報告もあります。そのため歯周病の早期発見と予防をしっかりと行い管理していくことはとても大切です。

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なぜ、歯周病になるの?

・・・歯周病は、歯と歯ぐきの間に入り込んだ歯周病原菌と全身や生活習慣の問題から起こる病気です。

なぜ、歯周病になるの?イメージ

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歯周病かどうかを調べるには?

・・・さまざまな検査をおこなって、1本1本の歯の歯周組織の状態を調べます。

歯周病かどうかを調べるには?イメージ

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歯周ポケット検査って、なに?

・・・歯と歯ぐきの中(歯周ポケット)の状態を調べることで、歯周病の進行状態や回復状態をチェックします。

歯周ポケット検査で出血が認められる

  • 歯周組織に炎症が存在する
  • 原因となる起炎物質(歯石など)が歯周ポケット内に存在する

歯周ポケット検査で出血が認められるイメージ

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どのように進行するの?

・・・歯周病の初期段階の『歯肉炎』は、子どもを含むほとんどの年代の人に見られます。『歯肉炎』をそのまま放っておくと、『歯周炎』に進行します。『歯周炎』は歯ぐきの状態が悪化し、歯を支える骨までも破壊されるために歯がぐらぐらと動くようになり、最終的には抜けてしまいます。

どのように進行するの?イメージ

歯肉炎の状態では、正しいブラッシングや簡単な歯石除去で比較的簡単に歯周組織の炎症を改善することが可能です。

術前術後イメージ

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歯周病はどうしたら治るの?

・・・セルフケアとプロフェッショナルケアが必要です。患者様と専門家が連携し、歯周病の治療を行います。

歯周病はどうしたら治るの?イメージ

まず第一に、歯周治療ではブラッシングによるプラークコントロールなくしては治癒はありえません

プラークコントロール

第2段階では、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)で歯周ポケット内の徹底的な無菌化を狙います

・・・『スケーリング』は、歯に付着したプラークや歯石、その他の沈着物などを器械的に除去することです。『ルートプレーニング』は、汚染させれた根面のセメント質や象牙質を除去して、硬くなめらかな根面にすることです。歯周ポケット内での両方の混合した行為を『スケーリング・ルートプレーニング(SRP)』といいます。これらの歯根表面の徹底した清掃で歯肉の炎症はなくなり、歯周組織がさらに破壊されるのを抑制します。実際の『スケーリング・ルートプレーニング(SRP)』では患者様の負担を小さくするために、麻酔をしながら一般的に1回の治療で4~6歯の範囲で行います。

スケーリング・ルートプレーニングイメージ

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)中に歯周ポケット内で行われていること

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)中に歯周ポケット内で行われていること

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)による歯周組織の炎症改善

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)による歯周組織の炎症改善イメージ

歯肉縁下のSRPに入るタイミング

  • ブラッシング時に出血しなくなる。
  • 歯肉の発赤・腫脹が治まる。
  • ブラッシングにより、見ためも歯肉の状態が改善されてからSRPを行います。

SRP後の知覚過敏について

セメント質や象牙質表層部まで除去され、象牙細管が露出するために知覚過敏が起こります。通常は1週間がピークで象牙細管が石灰化して2~3週間で消えることがほとんどです。必要があれば、しみ止めの薬などを塗ってコントロールします。歯周組織の破壊が高度に進行している場合で、しみがなかなか止まらない場合は神経の治療が必要になる場合もあります。

最終的に悪い部分を絞り込んで歯周外科処置を行います

・・・歯周治療は、ブラッシングなどのプラークコントロールとスケーリング・ルートプレーニング(SRP)による歯周初期治療が基本となります。そしてその先に、歯根の解剖学的形態が複雑で、完全に歯石やプラークを除去することが困難な場合には、歯周外科が必要になることもあります。ただし、プラークコントロールが不良な患者様では歯周外科処置が逆効果になる場合があるので、注意が必要です。

最終的に悪い部分を絞り込んで歯周外科処置を行いますイメージ

かなり骨吸収が進行した状態では隣の歯と連結固定して延命します

・・・歯周病で支持骨を一定以上失うと、急に歯の動揺度は大きくなります。歯周組織の炎症は軽減されていても、現実的には毎日咬んで歯を使うので隣の歯とつなげてやらないと維持できない場合があります。下の前歯のように一部の歯に限局した固定であれば、しばらく維持が可能です。ただし奥歯などで咬合力が大きくかかる所では、残っている前後の歯を守る意味でも、限界を見極めてインプラントへの置き換えにより咬合支持を増やす必要性があります。

かなり骨吸収が進行した状態では隣の歯と連結固定して延命しますイメージ

歯周病治療全体の流れ

・・・歯周病で支持骨を一定以上失うと、急に歯の動揺度は大きくなります。歯周組織の炎症は軽減されていても、現実的には毎日咬んで歯を使うので隣の歯とつなげてやらないと維持できない場合があります。下の前歯のように一部の歯に限局した固定であれば、しばらく維持が可能です。ただし奥歯などで咬合力が大きくかかる所では、残っている前後の歯を守る意味でも、限界を見極めてインプラントへの置き換えにより咬合支持を増やす必要性があります。

歯周病全体の流れイメージ

中等度歯周炎の治療ステップ

・・・歯周治療の基本となるプラークコントロールとスケーリング・ルートプレーニング(SRP)による歯周初期治療により健康な歯肉を取り戻せました。

中等度歯周炎の治療ステップイメージ

重度歯周炎の治療ステップ

・・・まず歯周治療の基本となるプラークコントロールとスケーリング・ルートプレーニング(SRP)による歯周初期治療を行い、さらに歯肉縁下深い部分や根分岐部病変を除去するために、歯周外科手術を行いました。

重度歯周炎の治療ステップイメージ

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メインテナンスの目的

・・・長期に渡り患者さん自身でプラークの無い状態を維持することは難しいことです。歯周治療が終了しても、治療後のプラークコントロールが悪ければ再発します。いったん歯周治療が終了しても決して油断はできません。そこで定期的に来院して頂き、専門家が歯周組織の状態をチェックし、処置が必要な場合はお伝えします。

メインテナンスの目的イメージ

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メインテナンスの診査と評価

口腔内の診査
プラークの付着の評価、歯周組織の診査、歯周ポケットの測定を行います。
X線写真による判定
1年に1回を目安に歯槽骨の吸収程度を観察します。
メインテナンス後の再評価
再評価の結果を患者様に伝えて、必要な場合はその処置を行います。

メインテナンスの診査と評価イメージ

歯周病と矯正治療

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